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インタープリテーション全体計画全国フォーラム in 那須のようす

堀口治香

2025年11月29日~12月1日の2泊3日で、インタープリテーション全体計画の全国フォーラムが開催されました。全国の有志からなる実行委員会と環境省が主催の集まりです。雲仙観光局も実行委員の一員として参加してきました!会場は栃木県那須高原のホテルの会議室です。

インタープリテーション全体計画とは…?

ある地域の価値や意味を俯瞰してまとめ、わかりやすく文章化してまとめたコミュニケーション戦略。目的は地域の持続と活性化。策定の過程と結果を通じて、そこに住む人には魅力の再発見と共に愛着や誇りを、来訪者には、その土地に対しての理解と共感を抱かせ、土地と人の間に特別なつながりを作るもの。

2021年、このインタープリテーション全体計画の地域型を、日本で初めて作ったのが雲仙温泉地区です!その後、全国の各所で作られるようになりました。4年ほどが経った現在、発展途上のインタープリテーション全体計画策定の動きは、それぞれの地域が模索しながら取り組んできています。

知ろう!インタープリテーション全体計画とは~1日目~

このフォーラムは、全国で「インタープリテーション全体計画策定」に取り組む実践者や関心を寄せる方々が一堂に会し、計画策定が地域の成長と活性化にどのように貢献するか議論を深める、日本で初めての貴重な機会です。

大きな会議室を2泊3日貸し切りで使います↑

北は北海道から南は奄美群島まで、15地域から61名が参加しました。

まずは、主催である環境省と実行委員会から挨拶をいただきスタート。特に、環境省は、国立公園の保全と利用推進に向けて、インタ―プリテーション全体計画が大いに役に立つと捉え、全国での策定を後押ししている現状を共有してくださいました。

次に、既にインタープリテーション全体計画を策定した、雲仙・那須・日光・富士山麓の地域メンバーが前に出て、ファシリテーターと共に、その概要や地域ごとの違いなどを発表しました。作成方法、仲間の集め方、重視したこと等が少しずつ違い、これから作る地域にとっても参考になる時間でした。

そして最後に、インタープリテーション全体計画を策定中の、霧島錦江湾、天草、みちのく潮風トレイル(青森県~福島県)の3地域が取り組みを発表して初日は終了しました。

アイスブレイクでは、実行委員のスタッフが盛り上げました↑

そしてその日の夜、懇親会の席にて、なぜか再びスライドが登場。

石オタクを名乗り、那須の石や地質を愛溢れるスライドで解説する参加者↑

なんと、参加者による自由形式の発表タイムが急きょ開催されました!貴重な情報や物語が次々と紹介され、終始熱量はそのままに、会場は盛り上がりました。

話して深堀り!どんな風に作ったか?使っているのか?~2日目~

2日目は、策定済みの地域を、地域ごとや聞きたい内容ごとにチーム分けをして、少人数のディスカッションを繰り返すことで、深掘りして詳細を聞いていこうという時間です。

那須地域のディスカッション風景↑    
雲仙地域のディスカッション風景↑
日光地域のディスカッション風景↑

参加者はいつでも自由に移動して、聞きたいことを聞くことができます。

短い時間でどれだけ多くの事例を見聞きして、気づきを得ることができるか、工夫した結果の構成です。参加者は意欲的に動き、質問や意見交換が活発に行われました。

ディスカッションが一区切りついたホワイトボード①↑

ディスカッションが一区切りついたホワイトボード②↑

理論を実利に活かせ!フロー理論講演

午後は、木村雄志さんによるフロー理論の講演がありました。観光の中で「夢中になる=フローに入る」メカニズムとはどんなものなのかを解説いただきました。インタープリテーション全体計画が地域全体を俯瞰して見るマクロな視点だとしたら、観光心理学のフロー理論は、個人に起こるミクロな視点。両方を理解することで、より地域の活性化や持続化への一歩が進みそうです。

もっと理解を深めよう!分科会

2日目の最後は、分科会形式をとり、テーマごとにミニ講義や議論の場を設けました。お互いに、今持っているインタープリテーション全体計画策定についての知見を丁寧に共有できる機会です。実行委員会のメンバーを中心に、以下の4つの分科会が行われました。以下タイトルを紹介します。

  • 分科会(1)プログラム企画・ゴール設定ワークショップby栃木アウトドア事業振興会BERGTOAD山﨑和幸

策定の途中で目標が曖昧になり、計画がブレてしまう悩みに、カークパトリックモデルを利用した手法を紹介。

  • 分科会(2)ファシリテーション講座by川嶋直事務所 川嶋直,一般社団法人雲仙観光局 堀口治香

地域でワークショップを継続するためのファシリテーターとしての準備と過程の全貌を共有。

  • 分科会(3)今後の(日本版)インタープリテーション全体計画の在り方by環境省 自然環境局 国立利用推進室 伊東里佳

米国・カナダにおけるインタープリテーション全体計画の事例紹介と日本型の未来に向けたディスカッション。

  • 分科会(4)インタープリテーション全体計画のアウトプット方法 by 雲仙ガイド 市来勇人

インタープリテーション全体計画の目的は冊子を作ることではない!過程を見つめ直し本質に立ち返るディスカッション。

分科会2の様子↑

75分間を2セット行い、じっくりと議論や講義を行いました。

どの分科会も、相互に意見を言い合う空気が生まれており、自身の持つ課題に対しての収穫を必ず得て帰ろう、と言う意識の高さが伺えました。

那須のフィールドでインタープリテーション全体計画の活用を感じる3日目

↑グループAの様子 
↑グループBの様子

最終日の3日目は、那須という現場を舞台に、インタープリテーション全体計画の活用を感じるエクスカーションを行いました。

那須地域のインタープリターほか専門家が案内役となり、それぞれ3つのグループに分かれて別々の場所で開催され、実際に那須の土地を歩きながらガイドを受けました。

3つ全てのエクスカーションには随行できなかったので、どんな内容だったのか詳細を報告はできませんが、タイトルのみ紹介します。

  • グループA自然体験プログラムにおけるフロー状態の発生~現場における観光心理学の実践と解説~by木村雄志、植村友美
  • グループB 参加者を「主役」に変える“没入体験”デザインの作り方~鹿の湯ツアーにおけるID理論を用いたプログラム開発手法とは~by 山﨑和幸
  • グループC 国際基準の環境倫理プログラム「Leave No Trace」ワークショップ~今残さないことで、未来に残す~by 真山高士

どのエクスカーションも、タイトルだけで興味を惹かれますね。

今後もそれぞれの地域で続く、インタープリテーション全体計画策定に向けて

以上を持って、日本初(もしかしたら世界初!?)のインタープリテーション全体計画の全国フォーラムは終了しました。この日集まった参加者は誰もが「自分の住んでいる地域を未来につなげたい、さらに良くしたい!」という思いを強く抱いていたので、直ぐに打ち解け合い、語り合うことができ、素敵な出会いが多い3日間となりました。フォーラムが終わった後も交流が続いており、今後のそれぞれの地域の展開が楽しみです。いつか第2回の全国フォーラムが開催されるかもしれません。

↑2日目の最後に集合写真。それぞれの地域で尽力している参加者の皆さまと

また新たな動きがあればレポートしたいと思います。以上、報告でした!

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