自然と歴史が織り成すロマンを辿る⑤~多言語化事業の専門スタッフと行く“The Road to UNZEN” 後半~
加藤奈保子
雲仙観光局は、令和5年度の観光再始動事業として、昭和初期ごろ外国人が多く訪ねていた避暑地「雲仙」までの道のりを、当時の移動方法や過ごし方を体験する新たなコンテンツとして事業化を目指し、動いております。
(観光再始動事業とは?)
観光庁がインバウンドの本格的な回復を図るため、地方公共団体・観光地域づくり法人(DMO)・民間事業者などが手掛ける体験コンテンツ・イベント等の創出等を支援。対象コンテンツの条件は、「新規性が高く、自然・文化・食・スポーツ等を十分に活用したもので、高付加価値化されたもの」など。
令和5年度、雲仙観光局は「UNZEN Volcano story ~Sky・Sea・Earth~世紀を超えて、もう一度、現代版雲仙で日本に出会い直す旅。雲仙火山 空・海・大地の物語」として同事業に採択されました。コンセプトは、「目の前にあるモノから、そこに眠るストーリーを体験・体感することで、より感動を提供できるコンテンツ作り」です。
現在、The Road to UNZENを含め4種類のツアーを開発中です。
前回のお話は… 各分野多言語化事業の専門スタッフとして、各分野の最先端でご活躍の皆様とご一緒に、観光再始動事業の全体像、4種類の開発中のツアーの内容をご紹介。ご意見をいただく日として、各コンテンツにつながる、雲仙の今昔、歴史的にもジオ的にも貴重な雲仙の魅力について、ご案内をさせていただきました。https://www.unzen-portal.jp/?post_type=projects&p=11727
今回の記事は、9月末に2日間に渡り行われた、観光再始動事業の活動報告 後半です。
9月22日(金) 多言語化事業の皆さんと巡るThe Road to UNZEN
2日目は、昨日と同じく多言語化事業としてお越しの専門スタッフの皆さんに、モニターとして、現時点でのツアー内容~The Road to UNZEN~外国人が愛した雲仙~、へのご参加をいただき、率直な意見をいただきました。
上海航路で海を渡り長崎県に入国してきた外国人のご紹介する看板が出島ワーフの中央辺りにあります。
出島ワーフさんより出発!本番はトゥクトゥクで茂木街道に向かいます。当時のルートは、長崎より茂木街道を通り、茂木漁港を目指しました。今日は、車を使ってなぞり、通っていきます。
ちょっとびっくりするぐらいの狭い路地が旧街道。ちょっとしたアトラクション気分を味わい、路地を曲がると…
時より、バークガフニ先生の著書 The Road to UNZEN にご紹介されている昔の絵葉書を彷彿させる情景と出会えるのがこのツアーの醍醐味!ちょっとしたタイムトラベルをお楽しみ下さい。
『あ!ここ、この絵葉書と竹藪の雰囲気が一緒じゃない!この場所がここじゃない??』
茂木の町に到着!
昔の方も、ちょっと一息、お茶屋さんに立ちよる様子の絵葉書も残っているのです。
そこで、私たちも、一服を興じることに。
茂木で有名なお菓子屋さん、一口香さんにお邪魔し、本日のお茶菓子をゲット!
せっかくなら歴史を感じる見晴らしの良い場所で!ということで、潮見崎観音堂へ足を運びました。
ここの観音像は、奈良時代の高僧「行基」ゆかりの7つの観音像の1つといわれ、子育て、子授けの観音様として信仰されております。行基さまと聞くと、雲仙とのご縁も更に深く感じられますね。
そして、144段の階段を上ると、展望が開け右手に「潮見崎観音堂」が見えてきます。
はい!頑張って上ったご褒美は、眼下に広がる橘湾の絶景です。海の向こうに普賢岳がお出迎え!
かつては、この港から、雲仙のお膝元の小浜迄、船旅を楽しんでいたそうです。
ちょうど真正面が、小浜になります!ここを、旅していたんですね!
昔の海外の方は、街道の茶店で何をおやつとして食べたのでしょう。
きっと、大海原を目の前に、これからの航海の安全を観音様に祈っていたのではないでしょうか。こちらの灯台も、昔の絵葉書に描かれています。昔の旅人も、私たちと同じこの場所で、これからの船旅に想いを巡らせていたのでしょうか。
おやつで元気パワーアップ! さあ、次の旅路は、茂木を出発し、左手には橘湾の絶景、そして、時々山や海の間から見える普賢岳の大きさが変わっていくのを楽しみながら、「雲仙火山」についての話や、火山によるこの土地の恵みや国立公園などの話題に盛り上がります。
また、その昔航路だった旅の手段が、だんだんと列車や車に移行していったそうです。私たちも、海外の方が多く訪れることによって、インフラ整備がされていった車道をなぞるように、一路、雲仙は小浜に向けて車は走ります。
雲仙市内に入ると、昔の旧小浜鉄道の跡を追いかけることが出来ます。かつて海岸線の絶景を見ながら走っていた線路の跡は、今は、車道に代わり、駅の跡地であることを知らせる石碑が、海に向かってそっと佇みます。
雲仙のお膝元、小浜の1つ手前の町、千々石にも、かつての歴史を感じられる場所があります。千々石ホテルは、その昔、本格的に雲仙の山に向かう前の休憩地として栄えたホテル。
おしゃれな洋館風のホテルが、海外の方にも人気のホテルだったそうです。 この門の前に人力車が停車した絵葉書と、今の様子を見比べて、またまたタイムスリップタイム。
さあ、間もなく、小浜に到着します。かつて海外の方も、これからの山行に備え、小浜や千々石で前泊をして、パワーチャージしてからお山に向かっていたそうです。
本日のお昼は、小浜温泉の蒸気で島原の食材を蒸す、温泉蒸し料理を楽しみます。先ずは近くの鮮魚店に出向き、自分の食べたいお魚をチョイス!小浜温泉の蒸気屋さんの調理場をお借りして、 皆でワイワイ、クッキングタイム。
ふっくらと良い感じに、出来上がりました。どれも素材の味に小浜温泉の塩味がプラスされ、やさしいお味に。お芋などのお野菜は、不思議と甘みを感じる美味しさ。地元の食材で、身も心もパワーチャージ完了!さあ、雲の上の避暑地 雲仙へは、もうひと踏ん張りです。
その昔、外国人の女性が、お山へ登る手段として、チェア籠を利用したそうです。
只今ツアー本番に向けて、昔の写真や絵葉書などの資料より、チェア籠を復活させ、ご参加者の皆さんに体験してもらうよう準備中です。担ぎ手も、当時の衣装を再現し、より、忠実に再現を試みる予定です。乞うご期待下さい。
小浜から雲仙に向かう国道57号線の途中にある駕立場(かごたてば)は、まさにそのチェアかごの休憩地点でした。
その後、海外の方の滞在先として大人気だった、歴史ある雲仙観光ホテルに見学へ。その当時は、毎晩のようにパーティーが開催されていたというホテル内のダイニング。先生の著書内のお写真と比べてみると、まったく変わらない窓枠や天井の梁に、みんなで大興奮。
ロビーやバー、ダイニングや図書館など、重厚な作りの扉を開けると、当時と変わらない部屋や調度品など、重厚な歴史ある数々の品々を見学させて頂きます。ホテルの部屋の扉を開けると、一気に100年前にタイムスリップしたかのような気分に!
このまま観光ホテルさんに宿泊したいところですが、今回のモニターツアーでのご案内最終ポイント、ツアー本番での行程として2日目に滞在予定となる白雲の池キャンプ場へ向かいます。
雲仙地獄から歩いて15分ほど、そんな直ぐ近くの立地にもかかわらず、ここ白雲の池は、緑豊かな自然に囲まれて、静かな時間を過ごすことが出来ます。
かつてバカンスに訪れた外国人からも愛された白雲の池は、今で言う、グランピングの先駆けの場所。滞在において、ホテル満室の為に入れなかったお客様や、自然の中で過ごすことが大好きなお客様から大人気のキャンプ地であり、ボートやハイキングのアクティビティなどの舞台でもありました。
かつての外国からの旅人は、どんな過ごし方をして、ここ雲仙での滞在の時間を、より素晴らしい時間にしていったのでしょうか。
そんな雲仙時間を、ツアー2日目の行程では味わって頂き、皆さんにお届けできればと、様々なコンテンツを作成中。今も昔も、皆さんから愛される白雲の池キャンプ場に心地良い時間を過ごしに、是非、いらしてください。
以上で、今回の多言語化事業の専門スタッフにおける2日間のモニターツアーは終了
今回は、バークガフニ先生が不在の中でのモニターツアーとなり、どこまで質問に応えられるか、緊張しました。モニターの中には、海外の方もおられ、外国の方の目線や文化の違いなどより、貴重なご意見をいただきました。今後に反映させて頂きます。ご参加いただいた多言語化事業の皆様、本当にありがとうございました。
今後もツアーリリースに向け 様々な方面からご意見をいただき、更により良いツアーを作ってまいります。
次回はいよいよ、プレツアーのご案内となります。