小浜温泉まちづくり 景色デザイン室・古庄悠泰さんと考える、小浜温泉の「人」と「考える時間(余白)」が生み出す本当の豊かさ
瀬戸正志
小浜温泉街ではJR九州(「ななつ星 in 九州」や高付加価値なトラベルを手掛けるチーム)とともに、小浜ならではの新しい滞在体験づくりの調査を進めています。
今回、「なぜ小浜はこんなにも人を惹きつけるのか?」を紐解くため、地域で活躍するキーパーソンにお話を伺いました。 小浜でデザインや空間づくりに携わる景色デザイン室の古庄悠泰さんとの対話から見えてきた、小浜の核心的な魅力をお届けします。

■ 外から来た人を温かく包み込む「オープンマインドな町」
小浜を訪れた人が口を揃えて言うのは、「風通しがよく、居心地が良い」ということ。 古庄さんは、小浜には外から来た人を過度に特別視せず、自然に受け入れる「オープンマインドな風土」があると語ります。
故・城谷耕生氏が手がけたデザインの系譜をはじめ、その温かい風土に惹かれて、料理人やデザイナー、クリエイター、美大生、さらには台湾など海外からの来訪者まで、多様な人々が吸い寄せられるように集まっています。「住みたい」「ここで働きたい」と思わせる雰囲気が、町全体に流れています。

■ 名所巡りから「人に会いに行く旅(OBAMA MEET UP)」へ
旅行といえば「有名な観光地を見て、食べて、お土産を買う」のが一般的ですが、小浜が提供しているのは「人との出会い」です。
現在企画されている「OBAMA MEET UP」は、名所観光ではなく、地域で暮らし働く魅力的な「人」に会いに行くツアー。台湾からの旅行者からも、飾らない「地域の日常」や「偶然の出会い」「暮らすような滞在」が強く求められているといいます。
温泉の泉質や絶景だけでなく、「地域の人と交わした言葉や笑顔」こそが、旅の忘れられない思い出(宝物)になる——この考え方は、JR九州が大切にする「ななつ星」のホスピタリティの理念とも深く響き合っています。

■「歩く・蒸気を眺める・ぼんやりする」=小浜ならではの「考える時間」という贅沢
古庄さんとの対話の中で浮かびあがったキーワードが、「食」「デザイン」「蒸気文化」、そして「考える時間(余白)」です。
多忙な現代人や旅慣れた旅行者にとって、小浜の路地裏をゆっくり歩いたり、街のあちこちから立ち上る温泉の湯けむりをじっと眺めたり、海辺でぼんやり過ごしたりする時間は、何物にも代えがたい贅沢です。
単に入浴するだけでなく、地獄蒸しや塩づくり、さらには発電や技術開発にまで活かされる温泉の「豊かな蒸気文化」を感じながら、自分自身の心と向き合う「余白の時間」を過ごすこと。これこそが、小浜が誇る最高の滞在価値と考えています。
