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石垣島・平久保半島に学ぶ地域の魅力の残し方

堀口治香

2026年10月中旬、石垣島・平久保半島を訪れました。目的は、平久保半島で作られたインタープリテーション全体計画の活用と「季節の暦」の作成過程・活用の実態を知ることです。全国屈指の観光地である石垣島で、地域の魅力を知り、伝え、守っていくことの意味を改めて考える貴重な機会となりました。

景色の向こう側にある、地域の物語

今回、平久保半島を案内してくださったのは、石垣島アウトフィッターユニオンの大堀さま。最初に訪れた明石展望所では、美しいサンゴ礁の海と牧場が広がる景色に出会いました。特に印象的だったのは、強い風で白波が立つ海でも、サンゴ礁に守られた海域では波が静まっていたこと。自然の大きさと、それに支えられて暮らす人間の営みを実感する風景でした。

平久保半島から見るサンゴ礁の海と牧場↑

道中では、石垣島の歴史や文化、厳しい自然環境との関わりについても教えていただきました。石垣島と聞くと、青い海や豊かな自然を思い浮かべる方も多いはず。しかし、その土地の成り立ちや人々の暮らしを知ることで、景色の向こう側にある物語が見えてきます。

どれほど有名な観光地であっても、まだ知られていない地域の魅力がある。だからこそ、地域をよく知る人の言葉で地域の事を伝えることには、大きな意味があるのだと感じました。

全世帯に届けられた「季節のカレンダー」

今回、特にお話を伺いたかったのが、「石垣島平久保半島自然と暮らしのカレンダー」です。

以前から、平久保半島のインタ―プリテーション全体計画と共につくられた「石垣島平久保半島自然と暮らしのカレンダー」を拝見し、参考にさせていただきながら、雲仙市でも「季節の暦」づくりを進めております。今回、その制作経緯や現状を伺いたいと考えていました。なんと、その発案者が、今回案内してくださった大堀さまご本人だったのです。

お話によると、カレンダーづくりの出発点は「文字だけではなくイラストで伝わるようにしたい」という考え。一般的なフェノロジーカレンダーのひな形は文字と表、帯グラフなどが中心ですが、初めて見る人にとっては、文字のみでイメージできない時点で、理解度が下がってしまうのではないかと考えたそうです。結果、全ての情報がシームレスにつながり、暮らしも自然も行事も空間的に時間的に境界がない、まるで一枚の絵のような雰囲気にしたいと考え、約1年、クリエイターの皆さまと相談を重ねて現在の形になりました。また、各家庭で掲示しやすいサイズや、長く使える紙質など、細やかな配慮が行き届いています。現在、完成したカレンダーは、半島の全世帯に配布されているのです。

カレンダーの制作について話を聞きました↑

実際に、カレンダーをきっかけに自然や生き物の話題が広がる場面にも出会いました。石垣島の県営公園にある「バンナ商店」で偶然持参していたカレンダーをお渡しすると、イラストを指さしながら、「こんな動物がいるんだ」「この鳥のひな、かわいいですよね」と会話が弾みました。地域の情報をまとめるだけでなく、身近な自然への興味を生み、人と人をつなぐ。そんなカレンダーの姿が、とても印象に残りました。

雲仙市でつくろうとしている季節の暦も、単に地域の情報を集めて並べるだけのものではなく、住んでいる人が自分の土地の魅力に気づき、誰かに伝えたくなるようなものにしたい。今回の経験を通じて、その思いがより明確になりました。

「島のこれからゆんたくカフェ」がつくるつながり

島のこれからゆんたくカフェ開催の模様↑

翌日は、石垣島の観光や自然体験などに関わる人たちが集まる「島のこれからゆんたくカフェ」に参加しました。「ゆんたく」とは、沖縄の方言で「おしゃべり」のこと。インタープリテーション全体計画について学び、これからの地域について話し合う時間です。

雲仙での活用事例も紹介させていただきました。雲仙市での事例も共有し、「活用というと難しく考えていたけれど、身近なことも活用につながると感じた」という声をいただきました。

ここで強く感じたのは、参加者の皆さんが、自分たちの暮らす石垣島を心から誇りに思っているということです。島外から移り住んだ方も少なくありません。それぞれのきっかけで島と出会い、その自然や人々、文化に魅了され、今度は自分たちがその魅力を自信を持って伝える側になっている。そんな姿が印象的でした。

日々のガイドや地域での活動、仲間との話し合いの中で使ってみる。そんな小さな実践の積み重ねが、計画を生きたものにしていきます。こうして人が集まり、地域のことを語り合う場そのものも、大切な活用の一つなのだと思います。

地域の魅力を、次の世代へ

ゆんたくカフェでは活発な意見発表が行われました↑

今回の訪問では、豊かな自然や観光資源に恵まれた観光地の石垣島でも、担い手の減少によって、地域の行事や文化を受け継ぐことが難しくなっている現状を知りました。どの地域も、身近にある自然や暮らしの知恵や地域の文化は、当たり前にあるようでいて、言葉にして伝える機会がなければいつの間にか失われてしまうことがあります。地域の魅力を未来へつないでいくためには、まず、そこに暮らす人自身が自分たちの土地を知り、楽しみ、その価値を誰かに伝えていくことが大切だと感じました。

今回、他の地域の取り組みに触れたことで、雲仙では当たり前になっていることの価値に気づく一方、これから必要なことも見えてきました。インタープリテーション全体計画も、季節の暦も、つくることがゴールではありません。地域の魅力に気づき、伝え合い、次の世代へ手渡していくための”使える”道具です。

今回で得た気づきを雲仙に持ち帰り、地域の皆さまと一緒に考えながら、日々の実践につなげていきたいと思います。
石垣島の皆さま、大変にありがとうございました!

ワークショップの集合写真↑

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