2025年11月17日～19日の2泊3日、雲仙観光局のスタッフ3名は、三重県鳥羽市にある海島遊民くらぶの「49時間基礎研修プログラム」を受けてきました。参加したのは、白雲の池キャンプ場の担当、海外営業の担当兼ガイド、そして地域営業の担当の3名です。

研修の目的は、施設管理方法やガイド技術の向上、ガイドのサポート方法、地域連携の工夫などです。３名はそれぞれ別々の目的を持って臨みましたが、各自有意義な学びを持ち帰ることができました！

海島遊民くらぶとは

伊勢志摩国立公園内で、地域住民と連携しながら、地元の自然や歴史、文化の体験を提供している団体です。ワクワク、ほのぼのできる体験を通じて、地域の活性化と保護を実践している、エコツーリズムの先駆者的存在です。

カヤックは「手段」でしかない

初日の無人島カヤックツアーでは、代表の江崎さんより印象的な言葉がありました。

「鳥羽湾にしかないものをより一層感じられるから、私たちはカヤックを使います、カヤックは手段でしかないんです」

この視点で海に漕ぎ出してみると様々なものが見えてきました。

鳥羽湾は、川の栄養豊富な水と外洋の澄んだ水の間に位置し、生き物が豊富に暮らしています。そしてそれはわかめや牡蠣、海苔の養殖業にとっても好条件。そんな営みの中を、カヤックという至近距離で見られる手段を使って体感することで、自然とワクワクしてきます。さらにガイドさんの声掛けで的確に見るべきポイントを教えてもらえるので、飽きることがありません。

カヤックから戻り、次はクラフト体験をさせていただきました。

先ほど海で見てきた、海藻や貝殻、なんとマイクロプラスチックも使って、キャンドルやストラップ、マグネットなどを作ることができます。

↑制作したクラフトたち

子どもたちだけではなく、ママ友同士が来店し、熱中して制作を楽しむこともあるのだとか。意外と大人も夢中になってしまうクラフト体験でした。

さっそく鳥羽湾の溢れる恵みを実感した1日目。雲仙でも、自然環境に加え、温泉や地域の食といった資源と連携した付加価値の高いプログラムを組む際に参考になりそうです！

海女さんの文化を「生きた形」で知る

2日目は、海女文化を体験しながら学ぶ「1 Day Ama Experience Tour」に出発。インバウンドに一番人気のあるツアーとのことで、ガイド担当の研修生が一番気になっていたところです。きらりと光ったのは、ガイドさんが、参加者自身が感じる“余白”を大切にしている点です。

まずは、鳥羽湾に浮かぶミキモト真珠島へ。そう、鳥羽市は世界で初めて真珠の養殖に成功した場所なんです。ここでは、ガイドさんの案内で、真珠の養殖と海女さんに実は深い関係があったことも知ることができます。

鳥羽の展望台では、ガイドさんから伊勢志摩の地形と海女さんの文化についてレクチャーを受けます。実際の景色を見ながらお話を聞くと想像力が膨らんでいきます。

そうして、伊勢志摩の海女さんがどのように活躍しているのかを知った上で、実際の海女さんに会いに行きます。日本一海女さんが多い町として知られる相差町へ。海女小屋では、海女さんがユーモアたっぷりに出迎えてくれ、お昼を準備してくれます。

ガイドさんは、自分から全部は説明せずに、海女さんに上手に話を振ります。地元の方から直接語られた飾らない言葉の数々は、ただの冷たい知識ではなく、その環境に住んでいる方のかけがえのない経験の話であり、まさに唯一無二の宝物です。

海女さんとのお昼を楽しんだあとは、昔から海女さんたちが信仰してきた石神神社をお参りして、ツアーは終了。楽しみながら、まるで爽やかな海風のように自然に、伊勢志摩についての知識や海女さんの文化について詳しくなっていました。

オプショナルツアーで、特別に伊勢神宮を案内していただきました。オプショナルと思いきや、全国的に有名な伊勢神宮も、実は海女さんがあわびを奉納するなど、深いつながりがあることを教えてもらいました。最後まで「海女さんってすごい…！」と思うポイントがいくつもありました。

次回【後編】では、答志島での漁師町ツアー体験と、研修を通じて見えてきた地域観光の目的についてお伝えします！