小浜温泉まちづくり連載 迫り来る「40億円以上」の喪失~人口減少がもたらす地域経済と生活インフラへの課題~
瀬戸 正志
今回から全3回にわたり、現在小浜温泉で進められている「地域の観光資源充実のための環境整備推進事業(小浜温泉まちづくり)」の出発点である、私たちが直面している「3つのリアルな課題」についてお伝えします。
第1回のテーマは、避けては通れない「人口減少と経済縮小」の現実です。

■ 数字で直視する厳しい現実「40億円以上」が失われる危機
私たちの住む雲仙市は、全国の多くの自治体と同様に、人口減少という大きな波の中にあります。予測によると、2030年には市内の人口は約3万8千人へと減少するとされています。
人が減るということは、地域でお金を使う人が減るということです。 人口減少によって、2030年には市内の地域消費額が「40億円以上」という規模で失われると推計されています。これは、地元のお客様だけを相手にした商売では、売上が徐々に下がっていくという厳しい現実を示しています。

■ 私たちの「生活インフラ」をどう維持していくか
この40億円以上もの消費額の喪失は、単に商店の売上が減るという商売の話だけにとどまりません。 売上が減り、人が減ることで、市に納められる住民税や法人税、固定資産税などの「税収」にも影響が及びます。税収が減れば、私たちの生活を支える道路の補修や橋の架け替え、学校や公共施設の維持といった、日々の生活・公共インフラの維持管理が少しずつ難しくなっていくという大きな課題に直面します。

■ どうやって「40億円以上の穴」を埋めるのか?
この失われる消費額は、ただ待っていても埋まりません。これを補うためには、「観光客(交流人口)の消費」と「民間投資」を力強く呼び込む必要があります。
例えば、定住人口1人分が1年間に地域で使うお金(約130万円)を観光客で賄おうとした場合、国内の宿泊客なら23人必要ですが、消費単価の高い外国人観光客であれば8人で済みます。高付加価値層と呼ばれるお客様をしっかりと呼び込み、単価を上げて地域でお金を使っていただくことが、私たちのインフラを守る力につながります。
また、国や市の補助金だけに頼るのではなく、民間企業に小浜温泉の可能性を評価してもらい、投資を引き出すことが不可欠です。民間投資によって建物や土地の価値が上がれば固定資産税収が増え、それが老朽化する生活インフラの更新費用の原資となります。

「観光が資産(建物など)をつくり、資産が税(一般財源)を生み、税が住民(インフラ・教育・福祉など)を支える」。 これが、経済循環モデルであり、今回のまちづくりプロジェクトの最大の目的です。
次回の第2回は、この民間投資の大きなターゲットであり、温泉街の景観の課題ともなっている「空き家問題」についてお届けします。